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患者さんの生活にガチで寄り添う行動へ踏み出してみる

アツい薬局をつくったる!#20 神田佳典 絵・ぺお

2019年06月26日 08:00

 まいど!けいしゅけ(@keisyukeblog)です。

 突然ですが、薬剤師って、なんでしょうかね?「わたしは薬剤師です」の意味するものとはなんだろうか?薬剤師であることはワイルドカードなんやろうか?

 「薬剤師である」ということ自体は「薬剤師免許を持っている人」に過ぎないんちゃうかなぁ思うねん。つまり、薬剤師であるだけで、何かすごい人になりえているワケとちゃいまっせと。

 視点を変えてみよか、患者さんが薬剤師に求めているものは「免許を持っていること」なのか? そうじゃないと思うねん。少なくとも専門知識を分かりやすく説明してほしいということはあるやろね。けれども、それだけちゃう気ぃするねん。僕は「多くの患者さんの中の1人ではなく、たった1人のアナタというヒトのことを理解しようと努めてくれるお薬の専門家」を求めているんじゃないか?なんて考えてます。

 今回は、僕がそのように思ったきっかけや、実際に患者さんそれぞれを「たった1人のアナタ」としてどう取り組んでみたか?その奮闘の経過をお話ししますね。

876320_fire.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像きっかけは、スマホコーナーのスタッフに質問したこと

 ある日、何気なく家電量販店のスマホコーナーに行きました。

 僕は店員さんに、いろいろな種類の機種があるけれど、カメラ機能と動作の速さを重視するとどれがオススメなのかと尋ねてん。

 答えは、「ちょっと詳しくない機種もあるから分からないです」というものやった。

 これを聞いて僕は、薬剤師としての自分にも言えることがあるんちゃうかな!? 背筋に冷たいものを感じたんよね。

 どういうことか?

 それは、「専門家としての知識はもちろん必要やし、それ以上に、相手のニーズ・どういった生活スタイルなのか?を知らずして、相手に当てはまりやすい返答をするのって難しいやんっ!?」ってことや。

 いったい僕は、何を行動できているんだろう??

876320_fire.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像ヒントは近所の美容師さんー専門知識とスキルは前提、要は人間関係

 最近、髪を切ってん。行きつけの美容室でいつも担当をお願いしているIさん。彼にカットしてもらっている最中に交わした会話を振り返ってみたら、ちょっと発見があったんやわ☆

 まず、頭皮のチェックで専門的に頭皮を分析してくれるねん。結果として、僕の頭皮の状態は良好やった。炎症がなく、表皮は青々としていて、毛根に余計な皮脂は溜まっていない。1つの毛穴から2〜3本生えていた...

「神田(けいしゅけ)さん、ハゲそうにないっすね」...あざっす!!

 次にカット。Iさんのカットはほんまに素晴らしい腕前やねんで!いつものようにカットしていく。

 そこから、この美容室の経営者でもあるIさんと、いつものように人材育成について意見交換などをしたり、お互い子供と最近どんなところに行ったか?おすすめの行楽地はどこどこで、そこでおいしいのは何で...なぁんて、お互いの出来事を話して盛り上がる。

 いよいよ大詰め。カットが終わり仕上がりを見せてもらいOKを出すと、髪の毛のセットが始まる。「仕事の日はセットしたらええ感じに、休みの日はそのままでラクにいけるようにしときましたよ☆」僕に合ったセット方法なども教えてもらってカット終了。

 最後に支払い。ここで、受付スタッフさんから声をかけてもらえる。

「息子さん、小学校に入ってからどうされてます? もうすぐ運動会の練習始まるんちゃいますか?」

「そうなんですよ!入学して翌月には運動会の練習が始まって、6月に見に行くんです!」なんて会話を交わす。

 僕がこの美容室に行きつけるのは、髪の毛のカットスキルなどは前提条件(もはや満足している)で、実は彼らと話をしに行っているんやと思えた。だって、僕の生活を知った上でいろいろな話ができるんやもの。これは検索エンジンにはできへんことや。髪型を画像検索しているときに「ところで息子ちゃん、入学してからどないなん?もうすぐ運動会の練習やろ?」とか通知来たことないもん!!

ん?

(´゚д゚`)ハッ

僕の考える答えが見えて来た気がするねん。

 薬局も同じなんちゃうかなぁ。患者さんが薬剤師に求めることって、薬に関する知識や市販薬・サプリメントとの飲み合わせ相談は当たり前にしてもらえて、そんなことよりも、患者さんではなく○○さんとしての暮らしを見ようとしているか?知っているのか?

 それを知っているからこそ、さらに踏み込んだ薬学的なアドバイスができるんちゃうやろか。

876320_fire.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像患者さんの生活像を捉えたら適切な提案だけでなく、新たなつながりが生まれる

 では、どうやって薬局の現場に応用しようか? そこで僕は、再来患者さん用の生活像アンケートを取ることにした。

 初回問診票で取っている飲酒・喫煙習慣、運転をするかといった項目はもちろん、食事の時間や起床時間・就寝時間の項目も作ってみてん。まだまだ改善の余地があるんやけど、少なくとも手応えを感じることがあったので紹介させてください。

「食事の時間を知ることで、一包化をされている患者さんの用法が、実は適切ではないと分かった例」

 とある患者さん。これまでの処方は「1日1回朝食後」と最も飲み忘れが少なそうなものでした。服薬指導時も「ちゃんと飲めてる」と答えが返ってくるので、アドヒアランスは良好と捉えていました。

 しかし、アンケートを取ってみると、就寝時間が想像してたんとだいぶ違ってたんよね。なんと、夜眠れないことが多くて、朝7時から寝ることが分かってん。ちなみに、夜は大抵決まった時間に食事を摂るとの情報も得られました。

 朝食後って用法...あかんがな!トレーシングレポートを提出し、用法を夕食後に変更する提案に至った事例でした。

 それから、生活アンケートをきっかけにこの患者さんの趣味が将棋ということも知りました。僕は将棋のルールが分かる程度ですが、詰め将棋ってなにが面白いのか?について教えてもらったり、なんやかんやと話をするようになりました。

「将棋のことはおっちゃんに聞くから、薬のことで分からんことあったり困ったことがあったら教えてな」

「分かった、任すわ」

と交わした会話は、薬剤師として最近味わった嬉しい出来事でした。

876320_fire.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像「ちょっと薬局の○○さんに相談してくる」ーーそんな存在に

 例えば、かかりつけ薬剤師について。この概念が登場したのは2016年のことやった。当時驚いたのはその算定要件で、かかりつけ薬剤師指導料加算の施設基準として「医療に係る地域活動の取り組みに参画していること」と明記されたんよね。

 地域活動ってなんやねん?なにすんねん?当時、そんなことを感じた方も多かったのではないでしょうか。

「医療に係る地域活動の取組に参画していること」の要件についての考え方は、次のような活動に主体的・継続的に参画していることである

・地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動であること。

地域について人のつながりがあり、顔の見える関係が築けるような活動であること。

平成28年5月19日疑義解釈資料の送付について その3より(太字は筆者による)

 地域住民の方と顔の見える関係が築けるような薬剤師になること。そういった地域活動に参加し、さらに、患者さんから同意書を得てかかりつけ薬剤師としてフィーを得る...

「指名制ってなんだか変な気がする」「これまでやってきたことを、なぜ今さらフィーをつけてまでやらされるのか」「今の業務にも精一杯なのに、とてもじゃないけどやる気が起きない」ーーエリア長としても、店舗の長としてもさまざまな意見を聞いたし、正直言って、僕も違和感を覚えたわ。けれども、僕は「やろう」と決めてん。

 なんでか言うたら、こうした活動によって地域住民に薬剤師の存在を知ってもらうきっかけになるんやったら、薬剤師として活躍できるフィールドが広がるんやったら、それは「袋詰め師」と揶揄される「薬剤師のイメージ」に大きな変化をもたらすと感じたからや。

 自分が置かれた状況に「こんな制度、やってられへん。やる気でぇへんからやらへん!」は、ともすれば「患者さんに選ばれない薬局を目指すわ、淘汰されてもええねん」という方向に進んでいるように見えてまうんちゃうかなぁ。

 そやから、何はともあれまずやってみる。その上で、自分が描くビジョンがあるのであれば、そちらにも手を伸ばせばいいんちゃうかなぁ。

 そう、まさに行きつけの美容室に見るコミュニティ形成を目指してみたら...「薬の専門家」であると同時に「行きつけの薬局の○○さんにちょっと健康相談しに行ってくる」と、患者さんが家族に告げて玄関を出るような、そんな薬剤師の○○さんになれたら。

 薬剤師法に定義づけられる「薬剤師」の役割と、患者さんが抱いている薬剤師へのイメージを合致させていけたらええなぁって思うんですよね!

【コラムコンセプト】

けいしゅけが仲間たちとつくる理想の薬局!そこに待ち受けるさまざまな困難とは?困難に真っ向から対峙しさらなるアツさをたぎらせるけいしゅけが繰り出す必殺技の数々、震えて待て!

【神田佳典氏プロフィール】

keisyuke_prof_white.jpg総合病院前の調剤薬局で薬局長として働く薬剤師。2度の心臓手術を乗り越えて与えてもらった人生。誰かのためにその時間をアツく生きると決めました。薬剤師として誰かの役に立つにはどうしたらいいのだろう?そこで出会ったのがEBMであり、所属しているAHEADMAPでした。Passion×EBM×仲間が生み出すエネルギーを武器に、アツい調剤薬局をつくると日々奮闘中です!

ブログ:けいしゅけのブログ薬局

Twitter:@keisyukeblog

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