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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2019年7月)

Fizz-DI 児島悠史

2019年08月01日 13:00

 2019年7月1日~31日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

『フェブリク(一般名:フェブキソスタット)』添付文書の改訂

http://www.info.pmda.go.jp/kaiteip/20190709A010/01.pdf

【厚生労働省 7月9日】

 高尿酸血症の治療において、「フェブキソスタット」は「アロプリノール」よりも心血管死のリスクが高いことが示され、添付文書にもその旨の注意書きが新設されました。日本では特に使用制限は設けられていませんが、海外では心血管疾患を抱える人には、他に選択肢がない場合を除いて使わないよう勧告している国もあります(例:イギリス)。

 今後、「フェブキソスタット」から「アロプリノール」へと変更になる症例にも少なからず出会うことが予想されますが、服用回数が1日1回から1日2~3回へと増えるため、飲み忘れの発生には十分な注意が必要です。


(参考)

◆原著の論文:CARES試験(N Engl J Med. 378(13): 1200-10, (2018) PMID: 29527974)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29527974

◆英国医薬品・医療製品規制庁の勧告
https://www.gov.uk/drug-safety-update/febuxostat-adenuric-increased-risk-of-cardiovascular-death-and-all-cause-mortality-in-clinical-trial-in-patients-with-a-history-of-major-cardiovascular-disease

調剤薬局は最後の砦 薬のミスから命を守る薬剤師の仕事とは

https://news.nifty.com/article/technology/internet/12226-334161/

【@niftyニュース 7月9日】

 未だに「薬剤師は処方箋に書かれた通りに薬を渡すだけ」という認識の人は多く、薬剤師による「確認」や「疑義照会」に時間がかかると、早く薬を渡すように患者から急かされることは少なくありません。「待ち時間」をゼロにすることはできないため、「今が何のための時間なのかを説明する」、「日時を改めて来局してもらう」など、薬剤師側から提案できる選択肢を準備しておくことも大切です。また、残薬調整に関しては処方箋にコメントを1つ入れてもらうことで事後連絡だけでよくなる方法もあります。こうした待ち時間短縮の工夫は、薬局でも考える必要があります。


(参考)

◆平成30年度診療報酬改定(※該当部分は82ページ)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197988.pdf
「処方箋において、残薬分を差し引いた減数調剤後に、残薬に係る状況を報告することで差し支えない旨を指示する」の例として、備考欄に「残薬調整後の報告可」との記載があります。

風疹はどんな病気?

https://www.nhk.or.jp/d-navi/stopfushin/

【NHK総合テレビ「ガッテン!」 7月10日】

 妊婦が「風疹」にかかると胎児に難聴などの「先天性風疹症候群」が起こるリスクがあること、こうした事態を防ぐために国民全体が「ワクチン接種」をすることが重要であることが、NHKのテレビ番組で紹介されました。特に、昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ(40~57歳)の男性は集団接種を受けておらず、現在の流行でも、発症者数が最も多い世代になっています。自治体からの抗体検査のクーポンも利用し、接種率向上に努めることが大切です。


(参考)

◆クーポン券を利用して抗体検査・予防接種を受けることができる医療機関の一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html

花粉を水に変えるマスク→根拠なし 消費者庁が措置命令

https://www.asahi.com/articles/ASM7456Z2M74UTIL02X.html

【朝日新聞デジタル 7月4日】

「花粉を水に変える」、「花粉を分解する」といったキャッチコピーで販売されていた使い捨てマスクについて、合理的な根拠がないとして消費者庁が景品表示法違反で措置命令を出しました。「花粉症が治る」のような「薬効」をうたっていない健康食品や衛生商品に医薬品医療機器等表示法(薬機法)は適用されませんが、それでも根拠のある表現・妥当な宣伝方法なのか、効果や安全性が不当に誇張されていないかといった点は現場の人間がきちんと確認する必要があると思います。


(参考)

◆消費者庁 「光触媒を使用したマスクの販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
https://www.caa.go.jp/notice/entry/015760/

 

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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