新規登録

僕たちが地域の外、国の外へつながりを求めるワケ―vol.1

ハイパーパパママ薬局薬剤師×カナダ薬剤師対談

2019年08月20日 13:40

握手写真02 .jpg

 日本からカナダへ渡り海外で薬剤師として活動する青山慎平さんと、地域に根差したパパママ薬局を運営しながらも、イベントなどを通して地域外へのアプローチを行う清水雅之さん。お二人が地域の“外”、国の“外”へと向かっていく原動力は何か?対談を通して “薬剤師を楽しむ”“薬剤師としてやりたいことをやる”という信念が見えてきた。

【Profile】
◆青山 慎平 さん(カナダ薬剤師:写真左)

生年月日: 1986 年 8 月 11 日
趣味: テニス、バスケットボール、サーフィン、読書、YouTube。
座右の銘: 「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの 道」
性格: 始めたら結果がでるまでやりきる。内向的で、静かな場所でゆっくり時間を過ごすのが好き
薬剤師になった理由 :数学と化学が好きだった。人を救える仕事に関わりたいと思った。 薬剤師は安定した仕事だからいいんじゃない?と、両親に言われたのも大きい

清水 雅之 さん(ハイパーパパママ薬局薬剤師:写真右)
生年月日:1984 年 4 月 2 日
趣味:登山、映画
座右の銘:「偉業を成すのも小さな一歩から」
性格:落ち着きがない。人見知り
薬剤師になった理由:実家が薬局だったから

SNSで広がる地域を超えた交流

清水:青山さんとSNSでつながってからしばらくたちますが、お会いするのは初めてです。私は静岡県、青山さんはカナダを拠点にしていますが、SNSでは地域を超えた交流がどんどん広がりますね。

 私は、SNS上では特にスポーツファーマシスト活動に力を入れていますが、海外の薬剤師からメッセージをいただいて交流を開始するということもあります。今は、自動翻訳ツールもいろいろとありますから、日本語の配信でも海外に届くようです。

 今回の青山さんとのコラボイベントも、Twitter上での交流がきっかけとなりましたね。

青山:清水さんのドーピングガーディアンに興味があり、連絡をしたのが始まりだったでしょうか。

清水:ドーピングガーディアンについて海外からの問い合わせが増えていたので、外国語対応を完成させたいと考えていたころでした。海外で薬剤師経験を持つ人にドーピングガーディアンはどう評価されるのだろうかと思い、青山さんに1セット送らせてもらいました。そこから交流が始まりましたね。

 その後、青山さんが帰国されると聞き、それならコラボイベントを…と、今回に至る流れになったかと思います。

青山:ドーピングガーディアンは、英語併記になっているし、ゲームも面白いので驚きました。これは、英語を学ぶのにも使えそうだな、と思いました。海外に出る際には、英語が壁になる場合が多いんです。それを超えるのに、ドーピングガーディアンが使えるんじゃないかな、と。

 私もかつては英語に抵抗があったので、初学者の気持ちはわかります。清水さんとのコラボイベントで、そうした抵抗感を払拭できたらいいな、と思いました。

実は人見知りで恥ずかしがり屋

清水:SNSで発信し、地域での草の根活動をしたりと、薬剤師としての活動はさまざまなご縁を通じて広げてきましたが、実は、めちゃめちゃ人見知りなんです。卸さんへの電話とかも嫌で、別のスタッフに頼りがちです(笑)。家族に「注文して」と頼まれても渋ってますね……なるべく話さないでいいように、インターネットで注文したりしています(笑)。

青山:ああ~。うん、うん(強くうなずく)。

清水:活動の幅は広がっても、なかなか性格は変わりませんね。ただ、このベストを着ている時だけは、スイッチが入れ替わって、ちょっと社交的になります。先日、近畿大学で講演をしたのですが、ベストを忘れてしまい、ものすごく不安でした。

青山:そういうルーチンってありますよね。私の場合は、恥ずかしがり屋で人に話しかけるのが苦手なのですが、ちょっとだけ目立ちたい、みたいな欲があります。そういうのって、ありませんか?(笑)外を向いて頑張りたいんだけど、基本的には静かなところで過ごしていたい。パーティとかも行くのですが、その場よりも、帰って落ち着いた瞬間が一番楽しみというか……。

清水:分かります!学会でも懇親会は楽しみにしていて、できるだけ参加するんですけれど、結局何も喋れなかったということが多いです。知り合いがいると、知り合いとばかり話してしまう、日本人に多いタイプです。とはいえ、いろいろと経験を広げていくためにも、頑張っていこうと思っています。

taidan_Shimizu02.jpg

地域密着型の日本のパパママ薬局と、合理的なカナダの薬局

清水:うちの薬局はカナダの薬局とは正反対で、手間のかかる非効率なことをやっています。薬や病気に関することだけでなく、例えば患者さんのお宅のエアコンが動かない、補聴器の電池が変えられないといった困りごとにも対応します。こういうことって、“薬局として”患者さんの役に立っているとはいえませんが、患者さんの生活には役立っています。地域に根差した活動って、意味がないようでいて患者さんの生活が見えてきたり、つながりが深くなったりするので非常に重要だと考えています。

 そう考えると、これはカナダのシステマティックな薬局の在り方と相反するわけではなさそうだ、と思うんです。カナダでもパパママ薬局のような泥臭い活動をする部分ってあるんじゃないかと想像しているのですが、いかがですか?

青山:確かにカナダの薬局は合理化が進められている部分もあるのですが、地域性もあります。都市部であれば効率性重視で、一人の薬剤師とテクニシャンで最低限の会話しかせずに効率的に回していきます。一方で、田舎の薬局になれば、必ずしも薬剤師が必要ではないことにも対応します。そのうちに患者さんは家族や友達のように薬局に入ってきて、会話をするようになるのです。

編集者:ハームリダクションの記事で、ジョージが患者さんと日常会話をすると書いてありました(関連記事:薬局を拠点にした薬物依存症対策)。

青山:そうですね、ジョージの薬局は、清水さんの日常業務と近いことをやっているのではないかと思います。

 カナダの合理的で効率的な薬局システムは、いいところもあります。日本でも取り入れたらよいと思うシステムもあります。効率化によってできた時間は、清水さんがされているような地域活動に充てるのが理想的ですね。

taidan_Aoyama01.jpg

「幽霊が見える」という相談も

清水:これからの薬局は、地域のインフラとしての役割を担うべきだと考えています。薬局が地域コミュニティの一員となり、地域の存続を支えるのです。そのために、うちの薬局では認知症カフェや地域支援センターとの連携、災害医療などに取り組んでいます。

青山:日本では、薬局は処方箋の薬をもらう場所という印象が定着してしまっていますよね。カナダは医者が少ないという背景もありますが、体調が悪くなったらまず相談する場所は薬局だと認識されています。日本でもそのように薬局が活用されたらよいなと思っています。

編集者:清水さんの薬局には健康相談も結構ありそうですよね。

清水:ありますね。健康に関するもの、そうでないもの、いろいろと。中には、関係なさそうでも実は健康に関する相談もあります。

 例えば、「幽霊が見える」という患者さんが、毎年何人か来ます。「いいお祓い屋はないですか?」という相談です。でも、薬剤師としては、これは何かの疾患の兆候じゃないかと思うんです。MCIのテストをやってもらうと点数が低い。近くの脳神経外科を紹介すると、レビー小体型認知症と診断されて、通院治療を開始。同時に幽霊もいなくなります。

 健康相談では応用力が大切になるので、患者さん対応の経験をどんどん積んでいくことが重要ですね。

Vol.2に続く

1 2
トップに戻る