新規登録

僕たちが地域の外、国の外へつながりを求めるワケ―vol.2

ハイパーパパママ薬局薬剤師×カナダ薬剤師対談

2019年08月20日 13:40

taidan03.jpg左:青山慎平さん 右:清水雅之さん

 カナダ薬剤師の青山慎平さんとハイパーパパママ薬局薬剤師の清水雅之さんの対談。Vol.1はコチラ

僕らが外へ向かうわけ

清水:私は田舎の薬局でローカルな働き方をしていますが、普段の薬剤師活動、地域活動はもちろん、スポーツファーマシスト活動などを通して世界の情報に触れることがあります。そうした経験から、おのずと地域の外へと意識が向いていきました。

青山:そうですね、自然に出たくなるというのは分かります。私の場合は「薬剤師として楽しく仕事をしたい」という気持ちがまずあって、そのための選択肢の一つに、海外に出ていくということがありました。

 PharmaTribuneでの連載のほかにも、SNSや動画配信などを通して海外の薬剤師情報を紹介し、さまざまな薬剤師と交流を持つのは、そうした活動が他の薬剤師の背中を後押しできるのではないかと考えているからです。

清水:自分自身が求めて外へ出ていくということもありますが、向こうから来るということもあります。静岡新聞に「スポーツファーマシストを活用しましょう」と投書したことがあって、それをFacebookで告知しました。すると、Facebook経由でそれを見た福岡のスポーツファーマシストから連絡がきて、連携をすることになったりと……。そうやって、どんどんとつながりが広がってきたという感じですね。

taidan02.jpg

小さな目標を一つずつ乗り越える

青山:外へ出ていくことには苦労もついてきます。カナダで働くことに対しては、家族からの反対がありました。薬学部を卒業し、日本では薬剤師という安定した仕事があるのに、なぜ海外へいくのかと。その説得には苦労しました……。

 たいていの人にとって海外に出る壁となるのは、英語への抵抗感ではないでしょうか。私はカナダに行く前、19歳の時に1カ月間、アメリカに語学留学をしました。その時も英語は苦手でしたが、「行きたいなら行くしかない!」と思い切って飛び込みました。それがきっかけで抵抗感はなくなりました。

 アメリカの語学学校にはサウジアラビア、エジプト、韓国など、さまざまな国の学生がいました。彼らの英語は発音も文法も単語もめちゃくちゃなんですけれど、コミュニケーションとしては成り立っているんです。それで「間違ってもいいんだ」と思って、完璧な英語を求めるのをやめたら、英語を話すハードルはかなり低くなりました。

編集者:語学留学で乗り越えた英語のハードルの先に、専門職として海外で英語のコミュニケーションを取る…ここにさらに一段大きなハードルがあると思うのですが。

青山:そうですね、ありました。専門の技術と専門の言葉を使いますし。私の場合は、1つずつ身に着けていきたいと考えていたので、まずはテクニシャンになると目標を掲げ、テクニシャンの学校にいきました。1つ乗り越えたら、また次の小さな目標を立てるという繰り返しによって達成感を感じて、自信を得ることもできました。当初、カナダで薬剤師というのは夢でしかなかったのですが、だんだんと現実味が出てきました。

編集者:清水さんの原稿にも「小さなハードルを少しずつ乗り越える」とありました(関連記事:薬局薬剤師最大のメリットは理想の薬局をつくれること)。

青山:この先も海外で働きたいと思っています。コミュニティファーマシーという、調剤薬局のようなところでは働いた経験がありますので、次は病院薬剤師を目指そうと考えています。現地のカナダの薬学部を卒業した薬剤師の間でも、競争率が高い難関です。ハードルの高い目標ですが、挑戦するつもりです。

 あとは、これから海外に出たいという人へ、自分が通ってきた道をお伝えしたいと考えています。海外で薬剤師として働くための方法論が、全然確立されていないので。自分がここまでやってきたから分かっていることを、皆さんにシェアしたいです。

 清水さん個人の目標は何ですか?

清水:今後、まずは私が住んでいる島田市を活性化させていきたいです。それと同時に、アンチドーピングへの取り組みには個人間のばらつきがあるように見えますので、スポーツファーマシストが全体的に盛り上がるような取り組みをしていきたいと思っています。ドーピングガーディアンも広めていきたいのですが、今回の青山さんとのコラボ企画で新しいアプローチを思いつきました。

 今度はドーピングガーディアンをわき役にして、ドーピングガーディアンを使って医療現場での英会話を学ぶとか……。そうしたイベントをすると、英語に興味のある人にアンチドーピングを広げていくことができる。

 アンチドーピングの流れを広く浸透させていく活動を、いろいろと考えていこうと思っています。

プロフェッショナルとしての仕事をフルスイングしよう!

清水:これからの薬剤師は、薬剤師としてやりたいことをやればいいと思います。目の前のことを右から左へとこなすだけでなく、プロフェッショナルとしての仕事をフルスイングしていく。

 調剤のほかにも、公衆衛生など薬剤師の専門分野はいろいろあります。調剤報酬はあとからついてくると思います。報酬にあるかないかではなく、薬剤師だからできることを、皆さんと奮闘していきたいです。

 新人薬剤師のTweetを見ていると、「薬剤師業界はブラックだ」とか、薬剤師の本質とは違うところで悩んでいる方が多いように感じるんですよね。そんなことではなくて、患者さんの薬物療法だったり、本質的なところで悩む環境ができてくるといいな、と思います。

青山:私も、薬剤師には自分たちの仕事をプロフェッショナルと捉えて仕事をしてほしいですね。

 誰だって、人から感謝されれば嬉しいですけれど、自分が薬剤師でなければできなかった方法で患者さんと関わり感謝される喜びは格別です。そういう経験によって自信が出ますし、薬剤師として尊敬されます。

 薬剤師のスペシャルな能力を使って仕事を楽しむ……そんな薬剤師が増えるといいですね。薬剤師の仕事は面白い、本当に最高だ!って大きな声で言いたいです。

青山さんと清水さんのコラボイベント

カナダ薬剤師の思考法と英語でアンチドーピング!

青山さんと清水さんの連載コラム

◆青山さんの連載コラム
カナダと日本での経験から薬剤師業務を考えてみた by青山慎平(2017年6月~連載中)

◆清水さんの連載コラム
ハイパーパパママ薬局薬剤師による健康サポート業務(2019年4月~連載中)
スポーツファーマシスト全国奔走記(2018年7月~2019年3月)

(関連記事)
67枚のカードで遊んで学ぶドーピング
ドーピングガーディアンを作った目的や経緯についてもう少し詳しくうかがいました。

薬剤師が考えたカードゲームで遊んでみたら、思いのほか面白かった。

1 2
トップに戻る