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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2019年9月)

Fizz-DI 児島悠史

2019年10月09日 10:00

 2019年9月1日~30日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

せき止め薬乱用、10代で急増

https://this.kiji.is/545878824081491041

【共同通信 9月15日】

 2018年に薬物依存で治療を受けた10歳代の患者のうち、4割以上が鎮咳薬を含む市販薬を乱用していたとする調査結果が発表されました。せき止め薬は酒類や違法薬物と違って簡単に入手できることから、特に年少者の間で危険ドラッグの入り口として濫用される危険性が指摘されてきました1)。実際、一般用医薬品の鎮咳薬で起こった副作用には、20歳代代以下の若者が承認外目的での使用したケースが多いとも報告されています2)。ドラッグストアの販売者など接客に携わる個人だけでこうした問題を解決するのは困難なため、会社や医薬品業界が率先して対応を考えてほしいと思います。

1) 医薬品安全性情報 Vol.3 No.11(2005/06/09)
2) 医薬品情報学.20(3):145-55,(2018)


(参考)

◆FNNニュース 9月19日
トイレに25本の空き瓶・・・市販薬を過剰摂取する若者が急増
https://www.fnn.jp/posts/00048204HDK/201909191341_MEZAMASHITelevision_HDK

ロタワクチン、0歳児に無料で定期接種 来年10月から

【時事ドットコムニュース 8月23日】

https://www.asahi.com/articles/ASM9V4FL1M9VULBJ00D.html

 急性胃腸炎で入院した5歳未満の小児のうち、「ロタウイルス」による胃腸炎は半数近くを占めるとされています3)。その発症を80%、重症化を75~90%抑制できる経口ワクチン4)が2020年10月から定期接種となり、公費で受けられるようになります。ロタウイルスは感染力が強く、日本では5歳までの間にほぼ全ての子どもが感染するとされているため、ワクチンにより重症の胃腸炎を減らせることが期待されています5)。ワクチンの効果や接種方法・回数などは、いつ質問されてもよいように準備しておく必要があります。

3) 厚生労働省「ロタウイルスに関するQ&A」
4) Vaccine.29(37):6335-41,(2011) PMID:21640780
5) Hum Vaccin Immunother.9(8):1626-33,(2013)

祖父母の薬、保管に注意を 孫が誤飲の恐れ

https://www.47news.jp/news/3917263.html

【47NEWS 9月24日】

 子どもの誤飲事故の主な原因はタバコと薬です。高齢者は薬を別の容器に移し替えたり、机の上に置いておいたりするなど、子どもの手が届きやすい場所に保管していることが多く、「孫が来訪した際の誤飲事故」も多発しています。睡眠薬や血糖降下薬など、少量の誤飲でも生命に関わるものも少なくないため、安全な場所への保管、少なくとも孫の来訪時には手の届かない場所に移動させる等の対応が必要です。特に、大型連休など帰省する人が多い時期には薬局などでも注意喚起することが重要です。


(参考)

◆大日本住友製薬 「赤ちゃん・子どもによる薬の誤飲を防ぐために」
https://healthcare.ds-pharma.jp/health_info/ingestion/index.html

◆薬の「誤飲」に注意
https://www.instagram.com/p/Bq7UUjKgiGr/

健康情報9月図1.png

(関連記事)祖父母の不十分な薬剤管理で孫が危険に

HIV内定取り消しで賠償命令=「告知義務ない」-札幌地裁に賠償命令

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019091700160&g=soc

【毎日新聞 9月17日】

 近年の治療法の進歩により、HIV感染者は薬をきちんと服用していれば生涯に渡って普通の生活を送れることも珍しくなくなりました。特に、抗ウイルス薬によって適切にコントロールされている場合、HIV感染者由来の血液を介した感染リスクは非常に小さい6)ともされています。しかし、未だに医療従事者ですら理解が不十分で、誤解や偏見を抱いているケースがあるようです。普段の業務でHIV患者と接する機会がない薬剤師でも、情報のアップデートは大切です。

6) 国立研究開発法人「エイズ治療・研究開発センター」:医療機関におけるHIV感染対策の原則
http://www.acc.ncgm.go.jp/medics/infectionControl/principles.html

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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