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認知症患者の痒みを見逃さないで!

 在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして奔走し、在宅活動を通して地域のさまざまな人との繋がりを作ってきました。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で頑張っています!

※在宅専門薬局としての活動記はコチラ【まだまだつぼみだけど・・・

つぼみ薬局 角山美穂

 

汗疹ではない?お腹に広がる発疹

 7月半ば、訪問を開始して1年半になる老老介護のお宅でいつものように薬をカレンダーセットしていました。患者さんは、アルツハイマー型認知症、左大腿骨頸部骨折術後の要介護5の女性です。

 同時に訪問していたヘルパーさんが、オムツ交換をしながら「昨日まであったかな~、汗疹かも知れませんがお腹に発疹が出ています。痒いらしいですよ」と介護者のご主人に報告していました。念のため、私も見せていただくと、「???」。汗疹ではなさそうだけど、何でしょう?確かにお腹全体に発疹が広がっています。主治医へ報告することにしました。

 すると、主治医からは意外な返答がありました。「『疥癬』だったらいけないから、皮膚科を受診してもらって」。『疥癬』って、ヒゼンダニの、あの『疥癬』ですか???

 ケアマネにもその旨報告し、介護サービス事業者一同が騒然とする中、早速皮膚科を受診してもらいました。結果は陰性で「ネリゾナ+アクアチム」が処方されたと連絡をいただき、結局原因は分からなかったため腑に落ちない気持ちもある中、とりあえず一同安堵しました。

つぼみ図1.jpgお腹に広がる発疹。ご主人の許可を得て撮影

「皮膚科を再受診してください」

その後「1カ月経過しても範囲が広がり、塗り薬が足りなくなった」と近隣に住む娘さんが、薬局に上記塗布薬の処方箋を持って来られました。「1カ月治療しても改善しないのであれば、皮膚科を再受診してください!」とアドバイス。発疹発見から1カ月半かかってやっとタマゴが見つかり、確定診断となりました。

  • Rp.ストロメクトール錠3㎎  3錠 1回空腹時水と共に服用
  • オイラックスクリーム 10ℊ

 疥癬については、ケアマネの研修会で随分前に学習し、施設内で発生すると厄介な皮膚疾患であるという記憶は残っていましたが、在宅医療にかかわるようになって20年、初めてお目にかかりました。見るだけでも何だか、体のあちこちが痒くなりました。

 この患者さん、デイへもショートへも行けない状態で高齢のご主人の負担が大きかったのですが、ご主人への感染予防も兼ねて、現在では入院療養しておられます。まだ痒みは続き、今回の検査でも陽性だった…と、娘さんから教えていただきました。

つぼみ図2.jpg

娘さんが送ってくれた入院中の写真。腕にも発疹が広がっている。まだ痒みは続いているそう

 この事例では、いろいろと思うところがありました。なぜ、1度目の皮膚科受診時に見つからなかったのでしょうか。その後1カ月の間に腹部だけだった発疹が全身に広がっていく中で、患者さんの患った痒みは相当なものだったでしょう。もう少し早く治療が開始できなかったのでしょうか。また感染が拡大していなければよいけれど……。何かのお役に立てればと、報告させていただきます。

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【コラムコンセプト】

ケアマネとしても薬剤師としても在宅活動を長く続けてきた筆者が、地域包括ケアの中でどのように薬剤師として貢献していくか、日々のエピソードとともに綴っていきます。

【角山美穂 プロフィール】

2009年11月、「在宅専門薬局」と言う想いでつぼみ薬局を開局。当初は、併設した「つぼみ薬局居宅介護支援事業所」の介護支援専門員として居宅を訪問したり、「つぼみ薬局」の訪問薬剤師として活動。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で活動中。

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