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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2019年10月)

Fizz-DI 児島悠史

2019年11月06日 10:00

 2019年10月1日~31日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

「子宮頸がんワクチン」接種めぐり議論 山本太郎氏演説で注目、関係各所の見解は...

https://www.j-cast.com/2019/10/21370637.html?p=all

【J-Castニュース 10月21日】

 「HPVワクチン」について、「ワクチンの有効性は非常に低い」「検診だけで完全に予防できる」と間違った見解で否定する政治家の発言に、専門家から批判が相次ぎました。「HPVワクチン」の問題でいま重要なのは、原因を問わず体調を崩した患者の治療法を確立することと、国民がワクチン接種機会を得ることの両方です。ワクチンの有効性、安全性に関する国内外からの報告や、それらを踏まえて世界保健機関(WHO)や日本産科婦人科学会が出した声明を無視し、感情的な主張をしても、国民の健康につながるメリットはありません。薬剤師であっても容易に把握できる問題ではありませんが、正確な情報提供ができるよう、根拠のある情報を1つずつ確認していくことが大切です。


(参考)

◆日本産科婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
◆HPVワクチンで防げる悲劇を、誤解や偏見で増やさないために~子宮頸がんの予防効果と安全性
https://www.fizz-di.jp/archives/1063400918.html


たくさんの薬は害になる!?~“多剤服用”の深刻なリスク~

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4343/index.html

【NHKクローズアップ現代 10月22日】

 高齢者が6種以上の薬を服用していると副作用のリスクが高まるという報告を基に、薬の多剤併用やサプリメント等との相互作用に対して問題提起するテレビ番組が放送されました。「自己判断で薬を中断しないように」という注意喚起もありましたが、多剤併用の深刻なリスクを表すタイトルの番組で「薬を止めたら認知症が改善した」という症例が紹介されたことで、「自分も薬を止めれば症状がよくくなるかもしれない」と感じた人は少なくないと思います。患者の薬識変化には十分な注意が必要ですが、こうした番組は漫然と長期投与されている薬を減らせるかどうか、患者と一緒に考えるきっかけとして活用していきたいところです。

インフル異常行動 10代最多 死亡4人 “薬との関係不明”

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191029/k10012155421000.html

【NHK NEWS WEB 10月29日】

 インフルエンザによる異常行動は服薬の有無を問わず起こるとされ『タミフル』の添付文書でも2018年8月に10代の小児に対する投与制限は解除されています。しかし、「因果関係は不明」といった報道のされ方をされると、「異常行動の原因は薬かもしれない」「だったら薬を飲ませなければ安心」といった誤解にも繋がり、非常に危険です。異常行動は「薬を飲んでいなくても起こる」ものであるからこそ、服薬状況に関係なく注意しなければならないということを、今シーズンも丁寧に伝えていく必要があります。

 

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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