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家族の想いはそれぞれ

家族の介護経験者として送るメッセージ

2019年12月26日 10:00

家族の想いはそれぞれ

 在宅患者さんのお役に立ちたくて、在宅専門薬局を立ち上げたのが2009年11月。1人薬剤師 兼 ケアマネとして奔走し、在宅活動を通して地域のさまざまな人との繋がりを作ってきました。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で頑張っています!

※在宅専門薬局としての活動記はコチラ【まだまだつぼみだけど・・・

つぼみ薬局 角山美穂

 

 在宅専門薬局、そして街角相談薬局を経営してきた私から、薬剤師にの皆さんにお伝えしたい4つのこと、3つ目は薬剤師の皆さんに『在宅医療を受けている家族の想い』です。ちょうど6年前、私は2年半子宮頸がんを患い亡くなった母を看取りました。この経験や、薬剤師、ケアマネとして得た沢山のご家族との出会いから感じ取ったことをお伝えします。

がん終末期の母の介護

 母は終末期、ガンが骨転移し【フェントステープ】を使用しました。1mgから徐々に増量となり、一時は12mgまで増えました。

 オピオイド鎮痛薬は、「癌性疼痛に対する鎮痛のために投与されている場合、精神依存はほとんど起こらない。疼痛下ではオピオイド受容体の一つであるκ(カッパ)受容体が亢進し、ドパミンの賦活化を抑制するためだと考えられている」と学びました。薬剤師としての活動をする中でも、それを疑うことはありませんでした。

 しかし、実際には母はレスキューの【オプソ内服液】を常に欲していました。もうろうとして、母が母ではなくなったかのような様子もありました。

 薬の専門家である娘がついておきながら、「認知症」のような状態になってしまった母にどうすることもできませんでした。

介護する家族へのフォローはない

 患者はたくさんの医療・介護スタッフがケアしてくれるけれど、家族へのフォローはないのだな、と感じました。それどころか、各サービス事業所からひっきりなしに連絡が入り、仕事も家庭も立ち行かない…という孤立感が募るばかりでした。

 私なりに一生懸命しても当たり前、仕事との両立に必死になっていれば、母について知らない事が増えていきます。その多さに、「いつの間にそういうことになっていたの…」。

 疲労と虚しさ、そして孤独。目の前にいる母は元来の母の姿をしていない。いろいろなことに追い込まれ「みんな仕事を辞めろと思っている」とまで感じるようになっていました。

 患者の家族としてのこの経験は、ケアマネジャーとしてもですが、訪問薬剤師、薬局薬剤師としても貴重なものになりました。

どの家族もそれぞれの考えで介護している

 その後、「この娘さんはどうしてここまでお母さんの為に尽くすことができるんだろう…」と頭の下がるご家族にたくさん出会いました。一方、患者さんのケアやサポート以上のことをこちらに求められ、「介護サービス事業者は家族の替わりにはなれない」ことをお伝えした家族もおられました。それぞれの家庭で、環境や考えが違うのは当たり前です。

 それでも、終末期を迎えた愛する家族の介護は、苦悩に満ちつつも尊いもの。介護者は孤独を抱えながらも生活者としていつもの日常をこなし、それぞれの立場で関わっておられることを忘れてはいけないと思います。

【コラムコンセプト】

ケアマネとしても薬剤師としても在宅活動を長く続けてきた筆者が、地域包括ケアの中でどのように薬剤師として貢献していくか、日々のエピソードとともに綴っていきます。

【角山美穂 プロフィール】

2009年11月、「在宅専門薬局」と言う想いでつぼみ薬局を開局。当初は、併設した「つぼみ薬局居宅介護支援事業所」の介護支援専門員として居宅を訪問したり、「つぼみ薬局」の訪問薬剤師として活動。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で活動中。

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