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医療者が押さえておきたい健康トピックス(2020年1月)

Fizz-DI 児島悠史

2020年02月05日 18:48

 2020年1月1~31日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

新型コロナウイルスによる肺炎の流行について

【参照:各メディアの報道】

 中国武漢で発生した原因不明の肺炎は、2020年1月10日に「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」によるものと確認されました。こうした新しいウイルス感染症が流行する際には、世界各国での感染者数や死亡者数にばかり注目が集まったり、SNSなどを中心に過剰な不安をあおる情報が広まったりすることが多々あります。信頼性が高いと考えらる公的機関の情報・指針を参照し、医療従事者自身がデマの発信や拡散に手を貸すことがないよう十分に注意する必要があります。また、この騒ぎに便乗して、空間除菌などの商品を「新型ウイルス対策」「パンデミック対策」と感染症の予防効果などをうたう表示・広告を見かけることがあるかもしれません。これらは薬機法に抵触する恐れがあることにも留意してください。


(参考)
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
国民生活センター「二酸化塩素による除菌をうたった商品」
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf

ゲームで薬の飲み忘れを防ぐアプリ、東和薬品とバンダイナムコが開発へ

【日経XTECH 1月23日】

 東和薬品とバンダイナムコ研究所が、ゲームの要素を取り入れた「服薬支援ツール」の開発に協同で乗り出したとの発表がありました。これまでにも薬の飲み忘れを防止し、服薬アドヒアランスを向上するためにさまざまな取り組みや企画が提案されてきましたが、決定的なものはまだ登場していません。日ごろから「持続性」や「操作性」・「達成感」を重視してゲームの制作・開発を行っているメーカーの参入によって、この分野の大きな飛躍が期待されます。


(参考)
バンダイナムコ研究所 ニュースリリース
https://www.bandainamco-mirai.com/news/post_20200121.php

認知症、早期発見へ 65歳以上対象に無料検診 横浜市

【神奈川新聞 1月21日】

 認知症の疑いがあるかどうかを問診で確認する無料の「もの忘れ検診」を、横浜市が始めるとの発表がありました。認知症が進行すると、日常生活に支障を来たし、家族との意思疎通ですら困難になりますから、早めの対策を取ることは重要です。

 一方、軽度の認知機能障害の段階では、「コリンエステラーゼ阻害薬」などの使用により認知機能が改善したり認知症への進行を明確に抑制したりできるわけではなく、消化器系の副作用に悩まされることになる1)恐れがあります。安易に病院受診を勧めるだけでは不要な薬の処方を増やしてしまう原因にもなりかねないため、「早期発見」の先をどうするのか、薬以外にも具体的な対策を考える必要があります。


1) Cochrane Database Syst Rev 2012; (9): CD009132 PMID:22972133

インフルエンザ未経験のさんま「一生、予防接種しない」

【SmartFLASH 1月25日】

1月22日のテレビ番組の中で、人気芸人が「インフルエンザのワクチンを接種したらインフルエンザになる」「体質が変わる」といった趣旨の発言をしたことがメディアでも取り上げられています。これによって、SNSでは「自分も接種したが発症した」「接種未経験だが発症したことがない」といった個人の経験談が次々と投稿されています。同番組では、専門家が「ワクチンの予防効果は6割で、重症化のリスクを軽減する効果もある」と解説していたにもかかわらず、影響力のある人の一言でワクチンに否定的な印象を与えてしまった点は、非常に問題だと考えます。


(参考)
患者から質問を受けた際、ワクチンの効果を分かりやすく説明するための画像を作成しています。
https://twitter.com/Fizz_DI/status/1221626487687663616

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

この記事はMedical Tribune Webから転載しました
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2020/0204524119/

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